ノガレ男爵令嬢シャロンは、家族に引退したリアンクール公との結婚を勝手に決められ、弟テオの目を盗んで家出しようとするが失敗。婚儀のためリアンクールへと向かうことになるが、宿から脱走をはかった。
一旦は成功したかに見えたシャロンの脱走劇だが、彼女はすぐに二人組の男に拉致されてしまう。森の中で謎の女と会い、訳の分からぬまま殺されそうになった時、一人の騎士が現れた！！そして…。

王弟アルフォンスの謀反に加担し、ブローデル王国から隣国エルシリアへ逃れたデュヴァリエ候マルセルとその侍女ニノン。
彼を覇権争いに利用しようとするエルシリアや、再度の王室への謀反の疑いを捨てきれないブローデル国内の勢力をしり目に、マルセルは数々の夫人と浮き名を流し、放蕩とも呼べるような生活を送っていた。そんな中、恋人バルデス夫人の前で恥をかかされたモリーナ伯は、マルセルを執拗に付け狙うようになる。マルセルを慕うニノンは彼の危機を救うため、モリーナ伯の撃った銃弾の前に飛び込んだ――。昏睡状態の中で彼女が見た夢は…。

シャロンはリアンクール公爵ラウールの婚約者としてリアンクール家の館で暮らしていた。――が、物語の様に「お姫様と王子様は周りの皆に祝福され」とは行かず、彼女の存在が気に入らない臣下達は何かと嫌がらせをしてくる。その理由は「彼女の出自が名門の公爵家にふさわしくないから」。その上ラウールも仕事が忙しくてなかなか相手をしてくれない。憤りを感じながらも我慢をしていたシャロンだったが、精霊祭で一緒に踊ってくれるはずだったラウールが急に首都ローランスへ行く事に。約束を破られたと感じたシャロンは屋敷を飛び出して行ってしまい…。

リアンクールで過ごしているラウールとシャロンの元へラウールの叔母、デュヴァリエ侯爵夫人イレーネがやって来るという報せが届いた。過去の経緯から親族に背を向けている叔母がわざわざ訪ねてくる目的はただ１つ。ラウールとシャロンの結婚を阻止し、息子のセドリックがリアンクール公爵家の爵位を継げる可能性を残しておく事。叔母の目論見を阻止する為に、ラウールの母コンスタンスに立居振舞を教わる事になったシャロンは、村の子供達に会いに行った帰りに数人の男たちに襲われている青年を見つけ、無謀にも棒を手に青年を助けに入り大暴れ。間一髪、助けに来た騎士達のおかげで難を逃れるが、ついうっかりと被害者の青年を殴り倒してしまっていた。その頃、城に着いたイレーネは焦った様子で「セドリックが居なくなった」と告げたのだが…。

結婚式を挙げるために隠居した筈のリアンクール公爵がローランスに戻っている。権力の行末に隙なく目を光らせている貴族達は、将来の社交界の中心となるかもしれないノガレ男爵令嬢に取り入ろうと、一気に色めきたっていた。そんな中、無事に国王ジョルジュ６世への謁見を済ませたラウールとシャロンは、屋敷へ戻る途中立ち往生した馬車に遭遇する。その馬車に乗っていたのはラウールが以前求婚した相手、現在はバルビュス伯爵夫人となっているガブリエルとその妹達だった。売られた喧嘩は買う！とばかりに妹達からのお茶会への招待を受けたシャロンだったが、ラウールの元恋人への態度には不満を抱く。更に外出しようにもロルジュが護衛としてついて来ると言うのだから面白くない事この上ない。そんな時リアンクール家の前庭に１台の馬車が到着した。何処の馬車かといぶかしく思う彼等を余所に、馬車から一人の少女が飛び出し、ロルジュに抱きついた。驚くシャロンにラウールは「彼女はバルビュス伯爵夫人の末妹だ」と告げる。どこか自分と似たタイプの少女にシャロンは好感を抱くが…。

男爵となって浮かれる家族達の中でただ一人テオだけが自分の置かれた状況にいらだっていた。国王にすら金を貸せる程の大商人になる野望を持つテオにとって、貴族になる事など論外だ。その日も夜更けに屋敷を抜け出して幼馴染たちと肝試しに繰り出したテオは、そこで盗賊団ボワザン一味の一人ジャンと知り合う。夜警に追われているジャンを成り行きで助けたテオは、ジャンと別れて屋敷へ戻る途中で近道をしようと女子修道院の敷地に忍び込む…が足を滑らせて塀から転落。誰もいない筈の修道院の庭の片隅で一人の少女フェリシアと出会った。侯爵令嬢だが両親を相次いで亡くし、異母兄によって修道院へ入れられた彼女は一生そこで過ごす運命で…