⇒電子貸本Renta!で読む

「瑞貴におめえをくれてやる約束をしちまった」
祖父の遺言（＆借金のカタ）でいきなり天原瑞貴（まがはら・みずき）と同居する事になった江ノ本花（えのもと・かずら）。天原家へとやってきた花の前に現れた瑞貴は外面は良いが、中身は悪魔な男で、花に「婚約者」になれと言う。しかも瑞貴には秘密があって――。

外では愛想が良くて人気のある瑞貴の（なんちゃって）婚約者になったおかげで、花の周りでは嫌がらせが絶えない。唯一できた友人の各務と一緒にいるだけでも陰口を叩かれる始末。そんなある日各務からだという伝言を受け、疑いつつも資料室に出向いた花は、同じく呼び出されていた各務と共に閉じ込められてしまい…。

瑞貴の婚約者候補のひとりで中等部会長の天原雫に祖父の形見の懐中時計を質に取られ、強制的に『羽衣祭』の“姫”として校内を追い掛け回される羽目になった花。演劇同好会の子達の助けや裏で手を回した瑞貴のおかげで何とか目的地である執行部室に辿り着き時計を取り戻した花だったが、なにやら雫には雫の事情があるようで……

花は七瀬の知り合いの別荘で天原十矢と出会った。
彼は少年の姿のまま何十年も生きてきたのだという。当主がいないと生きられない自分達の存在が瑞貴を一族に縛り付けていると語る十矢と話す内に、彼は瑞貴にとって数少ない味方になってくれそうな人物だと喜ぶ花だったが、その十矢が突然倒れてしまい――。

瑞貴の背中に残る傷を偶然見てしまった花は、失っていた子供の頃の記憶を取り戻した。瑞貴と仲良く遊んでいた頃の思い出も、そして瑞貴が傷を負った事件の原因に自分が関わっていた事も…。それ以来瑞貴には避けられ、二人の関係はギクシャクするばかり。しかも冬休みに入った途端、実家に帰る様に言われてしまった花は、久しぶりの帰宅を喜ぶ両親に囲まれながらも気分の晴れない正月を過ごしていた。
一方、表面的には何事もなかったかの様に過ごす瑞貴を見かねた雫は――。

天原八重という人物から招待を受け、花は初めて本家へと足を踏み入れた。そこで八重は瑞貴の祖母であり、一族を取り仕切る存在だと知った花はいきなりのラスボス登場に大焦り。そんな彼女に八重は「瑞貴さんの息の根を止める覚悟はあるか」と問い、衝撃的な事実を語る。
その後、広大な敷地内で迷った花は一人の少女と出会う。彼女・天原明里は瑞貴の異母妹で本来なら一族の当主になっていたはずの人物。「当主になれなかった自分に価値はない」と語る彼女に花は…。

２年生に進級した途端、美術の非常勤教師・阿栗に下僕認定されてしまった花。何かを知っている様な阿栗を胡散臭いと思っていた彼女に彼は予言と称し「おまえの騎士は今日明日中に仕事に出かけたまましばらく戻らない」と告げる。その言葉で彼が天原関係の人間だと確信したのも束の間、“仕事”に出かけたまま家に戻ってこない瑞貴を心配した花は阿栗に詰め寄った。実は阿栗は“眠りながら一族の未来を視る”天原三矢の声を聞く役目をもつ家の人間で、彼女の未来視に従い、瑞貴と花を別れさせる為に来たというのだが…。

花の自分に対する気持ちの変化を感じて内心嬉しく思っていたものの、彼女を自分から引き離す為に花の目の前で「魂返し」を行った瑞貴は、その直後に発作を起こして倒れてしまった。彼を心配して怒る花に瑞貴は彼の過去と、そしてある決意を語り始める。
一方、瑞貴が許可無く勝手に「魂返し」を行った事を知った一族内には波紋が広がり――。

幼い瑞貴と須佐の出会いを描いた番外編も収録

瑞貴の体調不良を知り、八重が手を回して仕事を差し止めて以来、一族内部では様々な憶測が囁かれていた。そんな中、瑞貴の異母妹・明里が花を訪ねてくる。殆ど本家の外に出ることなく生活している明里が会いに来てくれた事を喜ぶ花と突然の異母妹の出現に戸惑う瑞貴に、彼女は瑞貴の不調の原因かもしれない、今は亡き祖父から聞いた言葉を伝えるのだった。それを聞いた瑞貴は――。

夏休み明け、進路相談を前にして将来の事を全く考えていなかった花はパニック状態。そこへ現れた七瀬に獣医になったきっかけを聞いてみた処、彼の口からある人物とのエピソードが語られる。その後、花はなんとか無事に進路相談を終えたものの一難去ってまた一難。瑞貴の進路相談に八重が学園にやってきたのだ。彼女の目的は瑞貴の進学を阻止し、彼を本家に連れ戻す事。更に後継ぎ作りを急かすかの様にお見合い相手を送り込んできた。かくして花も巻き込んでのお見合い旅行が始まったが、平穏無事にすむ訳も無く――。